大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)213号 判決

原告

銀林浩

原貞子

塚田二朗

阿相幸治

今関文麿

渋沢利久

前田正義

小畑精武

佐渡谷堅治

楼庭直子

加藤学

高橋治巳

原告兼その余の原告訴訟代理人

羽生雅則

木内俊夫

鈴木篤

右一五名訴訟代理人

滝沢幸雄

岡田弘隆

佐々木幸孝

被告

東京都選挙管理委員会

右代表者委員長

小川睦郎

右訴訟代理人

鎌田久仁夫

外三名

主文

原告らの本件請求をいずれも棄却する。

ただし、昭和五六年七月五日に行われた東京都議会議員選挙の江戸川区選挙区における選挙は違法である。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(原告ら)

1昭和五六年七月五日に行われた東京都議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)の効力に関する原告らの異議申立につき、被告が同年七月二七日なした異議申立却下の決定(以下「本件決定」という。)を取消す。

2本件選挙の江戸川区選挙区における選挙を無効とする。

3訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

一本案前の答弁

1原告らの訴を却下する。

2訴訟費用は原告らの負担とする。

二本案の答弁

1原告らの請求を棄却する。

2訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

(原告ら)

一  請求の原因

1 当事者

原告らは、本件選挙の江戸川区選挙区における選挙人であり、被告は本件選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会である。

2 原告らの異議申立に対する被告の決定

(一) 原告らは、昭和五六年七月二四日被告に対し、本件選挙が各選挙区の人口に比例せず、憲法前文、同一四条一項、一五条一項、三項、四四条但書、九三条一項、公職選挙法(以下「公選法」という)一五条七項に違反する「東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例」(昭和四四年東京都条例第五五号)第一乃至第三条の定数配分規定(以下「本件配分規定」という)に基づき施行されたもので無効である旨主張し、公選法二〇二条一項により異議申立をしたが、被告は同月二七日本件決定をなし翌日該決定書を交付した。

(二) 被告の本件決定の理由は、「公選法第二〇二条の異議申立に関する規定は、同法に基づき施行された選挙に管理執行上瑕疵があつた場合に、これを無効として早期に適正な再選挙を実施せしめもつて選挙の自由と公正とを確保せんとするために設けられたものである。従つて、たとえ選挙を無効として再選挙を実施したとしても、その瑕疵を是正しえない場合にまでも異議の申出を許容する趣旨ではない。また、本件選挙は、現行法制上適法に成立した条例に基づき適法に施行されたものである。」というものである。

3 本件決定の違法性と本件選挙の無効

(一) 本件決定は公選挙法二〇二条一項に違反する。

本件決定の理由は、要するに、公選法二〇二条一項の異議申立は選挙の管理執行上の瑕疵があつた場合を救済せんとするために設けられたものであり、本件配分規定の違憲・違法を主張する原告らの異議申立のような場合は予定しておらず不適法であるということである。

ところで、地方議会議員選挙においては、選挙の効力に不服のある者は、公選法二〇三条二項により異議申立手続を経なければ訴訟でその効力を争うことができない。その意味で同法二〇二条一項の異議申立は地方議会議員選挙の選挙人が選挙の適否を争うために不可避の手段であり、他に違憲・違法を主張して是正を求める方途は現行法制上存在しないのである。仮に被告の理由とするところが容けられるとすれば、現在、原告らの基本的権利が重大な侵害を受けているにもかかわらず救済の途は全く閉ざされてしまうことになる。これは、およそ国民の基本的権利を侵害する行政主体の行為に対してはできるだけその是正、救済の途が開かれるべきである、という憲法上の要請に著しく反するところである。

また原告らが異議申立の中で主張したのは、本件配分規定自体の違憲、違法性であるが、選挙規定に基づく単なる管理執行上の瑕疵については異議申立が適法であるが、本来それ以上に重大な瑕疵というべき選挙規定それ自体の違憲、違法を理由としての異議申立は不適法であるというのは、本末転倒の謗りを免れない。公選法二〇二条一項の趣旨が、異議申立をもつて選挙人が選挙の適否を争う唯一、不可避の手続とし、もつて選挙の公正をはかろうとするものであるとすれば、以上述べた理由から原告らの異議申立は当然許容されるべきであり、これを本案に入らずして却下した被告の本件決定は同条の解釈を誤つたもので違法である。

なお、右のように定数格差により不当に基本的権利を侵害されている選挙人にできるだけ広くその是正の途を開く考え方は、すでに国政選挙に関する同法二〇四条の解釈としては判例上定着しているところ(最高裁昭和五一年四月一四日判決、東京高裁同五五年一二月二三日判決)であり、その解釈は地方議会議員選挙に関する同二〇二条一項、二〇三条においても何ら差異を設けるべき理由はない。

(二) 本件選挙における投票価値の不平等

本件選挙は、本件配分規定に基づき行われたものであるが、右配分規定は人口に比例せず、その結果本件選挙においては以下に詳述するとおり、最大過疎区の千代田区選挙区と原告らの居住する江戸川区選挙区では、議員一人当り人口の比率で1対4.51(選挙直前の昭和五五年国勢調査の結果)、議員一人当りの有権者数の比率において1対3.79の格差が生じており、これは地方自治体議員選挙における投票価値の平等を保障する憲法及び公職選挙法に違反するものであるから、これに基づく本件選挙は無効である。

(1) 本件選挙における定数配分

(イ) まず、東京都の区部のなかにおける議員配分を検討してみる。本件原告たる選挙人らの選挙区は江戸川区選挙区(人口四九五、〇六八人議員定数四名、議員一人当りの人口一二三、七七一人)であるので、これと他区とを比較する。すると、千代田区選挙区(人口五四、八〇一人、定数二名、議員一人当りの人口二七、四〇〇人)との比較によつて、江戸川区内の選挙人は千代田区内のそれに比し、約4.51分の一の投票価値しか有しない選挙権しか与えられていないことがわかる。このことは、仮りに、区部全区統一、一区で選挙をするならば、その際、千代田区内の選挙人には、4.51票を与えているということと、実質的には変りがない。また、新宿、品川両選挙区は人口三四万人余りであり、江戸川区選挙区と比べるとはるかに少ないにもかかわらず、これに対して五名の議席の配分をしている。公選法一五条七項に忠実に従つて議席配分するならば、これらの区での配分は現行と逆転し、新宿、品川、北各選挙区は五人から四人に減じ江戸川区選挙区は四人から五人に増やすべきことになる。

(ロ) 次に、公選法二六六条二項による区部と、市、郡、島部の配分をみてみよう。選挙直前の前記国勢調査によれば、区部人口は、八、三四九、二〇九人であり、市、郡、島部人口は、三、二五六、八六〇人である。この「人口に比例して」(同法一五条七項)現行一二七の議席を配分すると、区部91.29、市、郡、島部35.71となる。ところが、本件配分規定による議員定数はこれに反し、区部一〇二人、市郡島部二五人となつている。すなわち、法に基づくあるべき適正な配分に比し、現実には、区部では一一人も多い議員配分がなされ、逆に市・郡・島部では、一〇人以上も少ない議員配分がなされていたことになる。この結果、区部に於ける各個の選挙区と、市、郡、島部に於ける各個の選挙区とを個別に比較対照していくと、最も極端な場合、千代田区選挙区に於いては五四、八〇一人の人口に対し二人の議員配分があるのに対し、八王子市選挙区の場合は三八七、一六二人の人口に対し同じ二人の議員配分しかない(投票価値の格差はここでは、約一対七にも達している。)という異常な事態を招来している。

(ハ) 投票価値の問題とは、後に詳述するように代表議員に対する国民(住民)の意思反映の権利の平等の問題である。この視点から言いかえるなら、千代田区選挙区と江戸川区選挙区の対比に於ては、千代田区の選挙人は、江戸川区の選挙人より絶対的に少ない人数で、江戸川区の選挙人より相対的により大きな発言力(意思反映力)を議会に対して有している、ということになるし、新宿、品川、北区等の選挙人は江戸川区の選挙人より絶対的に少ない人数で、かつ江戸川区選挙人より絶対的により大きな発言力を有しているということになる。ここに於いて代表制民主主義の大前提たる平等原則の崩壊は明白であるといわなければならない。

(2) 定数格差の推移

次に、戦後の東京都議会議員選挙における定数格差の推移を、主に原告らの居住する江戸川区選挙区と最大過疎区の千代田区選挙区を例にとり概観する。

(イ) 東京都議会議員選挙の選挙の選挙区及び定数に関しては、戦後間もなく「東京都議会議員の選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例」(昭和二二年都条例第三一号)が制定された。

右条例において、江戸川区選挙区の議員定数は五名、千代田区選挙区は一名と定められた。同二一年四月二六日の人口調査をもとに当時の議員一人当りの人口数を算出すると、江戸川区選挙区三四、〇四〇人、千代田区選挙区五七、八八二人であり、現状とは逆に千代田区民の投票価値が著しく低くなつていた。しかし、同二六年四月三〇日に実施された第二回東京都議会議員選挙では、その間に前記条例が一部改正されたことに伴い、江戸川区選挙区の定数は四名、千代田区選挙区は二名となり、議員一人当りの有権者数では、江戸川区選挙区二九、五一四人、千代田区選挙区三一、三二八人、東京都平均で三〇、六一九人となり、投票価値の平等化がほぼ保たれることになつた。

(ロ) ところが、昭和二〇年代末頃より都心区からの人口の流出、周辺区、市、郡部への人口の流入という、いわゆるドーナツ化現象が見られるようになり、それは年々急速な進展を見せた。

千代田区の人口は同三〇年の国勢調査における人口をピークとしてその後減少の一途をたどつた(同三〇年一二二、七四五人、同五五年五四、八〇一人)のに対し、江戸川区の人口の伸びは、同二五年から四〇年までの間に二倍増と急激な増加をみせ、その後も増加が続いた(同二五年二〇八、八六一人、同五五年四九五、〇八六人)。右のような人口の変動にもかかわらず、両選挙区の議員定数には何ら変更が加えられることがなかつたため、議員一人当りの有権者数についての格差は選挙毎に次第に拡大することになつた。

以下に昭和四〇年以降今回までの東京都議会議員選挙における議員一人当りの有権者数の格差を示す。

① 昭和四〇年七月二三日施行の第六回選挙

千代田区選挙区 三三、六九三人

江戸川区 〃 五五、九九九人

○北多摩  〃 九七、四一二人

(参考―同選挙における最大過密区―以下○印同じ。)

右比率(千代田区対江戸川区―以下同じ。)1対1.66

② 同四四年七月一三日施行の第七回選挙

千代田区選挙区 三一、七〇七人

江戸川区 〃 七二、八四二人

○町田市 〃 一〇二、四一九人

右比率    1対2.3

③ 同四八年七月八日施行の第八回選挙

千代田区選挙区 二八、八一二人

江戸川区 〃 七七、六五八人

○町田市 〃 一四八、六三〇人

右比率    1対2.7

④ 同五二年七月一〇日施行の第九回選挙

千代田区選挙区 二四、四〇七人

江戸川区 〃 八〇、一五一人

○南多摩選挙区 一六三、〇〇九人

右比率    1対3.3

⑤ 本件選挙

千代田区選挙区 二二、三四一人

江戸川区 〃 八四、六四六人

○西多摩 〃 一三七、六四七人

右比率    1対3.8

選挙毎に千代田、江戸川両選挙区間の格差が拡大しているのがよくわかる。

(三) 定数格差を放置した東京都の責任

(1) 前述のような定数格差の問題は、昭和四〇年ころより顕在化しはじめ、東京都内部でも検討がはじめられるに至つた。

しかし、現実の改定は遅々として進まなかつた。その後地方自治法九〇条の改正に伴い、前記条例が同四四年全面改正され、本件配分規定を規定する現行の「東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例」(昭和四四年条例五五号。以下「本件条例」という。)が制定されたが、定数については、北多摩地区に増員があつたのみで、区部、南多摩及び西多摩地区については従前どおりと放置された。昭和四〇年以降区部についてなされた定数是正としては、同四八年東京都条例第五七号による本件条例の一部改正に基づく台東、品川両選挙区の定数一名減、練馬区選挙区の一名増だけであつて(市、郡部においても本件条例制定後は、選挙区の分割を除けば、町田市選挙区の一名増、次に述べる日野市選挙区の新設がなされただけである)、江戸川区選挙区などは、著しい格差にもかかわらず放置された。本件選挙前の同五六年三月二〇日、東京都は前年の国勢調査の結果を議員定数に反映させるためとして、本件条例の一部を改正した(同年都条例第五号)が、その改正内容は日野市選挙区(定数一名)を新設したのみであつた。

(2) 右国勢調査の結果によれば、本件選挙において投票価値に著しい格差が生ずることは明らかな事実(江戸川区、八王子市両選挙区における議員一人当りの人口を千代田区のそれと対比すると、それぞれ1対4.51、一対七であつた)であつたにもかかわらず、前記の他何ら是正措置はとらなかつたのである。このように、東京都が今日まで何ら抜本的な定数是正措置をとらなかつたことの結果として、人口増加の著しい二三区内の周辺区、あるいは市、郡部の住民は、都心区の住民に比してはなはだしい投票価値の低下に見舞われることになつた。

各選挙区における本件選挙時の議員一人当りの人口を最大過疎区の千代田区のそれと比較する(カツコ内は一人当り有権者数の比率)と次のとおりであり、いかに江戸川区を含む周辺区、市、郡部の投票価値が低くなつているかがわかる。

練馬区選挙区

1対5.15(1対4.36)

八王子市〃

1対7.06(1対5.69)

足立区 〃

1対4.51(1対3.76)

府中市 〃

1対7.00(1対5.77)

葛飾区 〃

1対8.83(1対3.31)

三鷹市 〃

1対6.00(1対5.12)

既に昭和四〇年代初めから定数格差の問題が顕在化していたにもかかわらず、右程度に至るまで何ら根本的な是正措置をとらず、一五年以上にわたり放置しつづけてきた東京都の責任は重大である(なお、法・条例の改正経緯については、さらに三1で詳述する。)。

(四) 憲法・法律と投票価値の平等

(1) 憲法と投票価値の平等

日本国憲法は、主権在民の民主主義体制を人類普遍の原理として宣明し(前文)、その民主主義法制としては、「正当に選挙された国会に於ける代表者を通じて」国政を担う、代表民主制を採用している。「国政は国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(前文)という、リンカーンのゲティスバーグ演説以来の民主主義の真髄を代表民主制に於て実現するための不可欠の前提条件は、その「代表」が、正しく主権者たる国民の意思を適正・忠実に反映し、代表するものとなつていることにある。そして、「すべての基本的人権を享有」(一一条)し、「法の下において平等」(一四条)である主権者たる国民が、その意思を正しく代表に反映させる為の最低条件は次の二つとなる。すなわち、その第一は、代表選出の選挙に於ける選挙資格の平等が守られることであり、この点については、憲法一四条一項、一五条一項、三項、四四条但書等に照し、制限選挙等の不平等選挙が許されないものであることは、明文上も明らかである。同時に、第二に、この平等選挙は、現行法体系の如く代表民主制の具体的形態として、選挙区を細分し、選挙区毎に代表を選出する地域代表制によつている場合には、平等の形式的側面である資格についてのみでなく、より実質的には、選挙権の内容すなわち、投票価値そのものの平等を、異なる選挙区相互の間に実現しなければならないものであることも、事の本質ならびに、これらの規定の趣旨からして明らかである。そして、憲法上のこうした原理については、周知のとおり最高裁昭和五一年四月一四日大法廷判決、東京高裁昭和五五年一二月二三日判決などにより判例上も確認されているところである。これらの判決はいずれも国政選挙に関するものであるが、地方議会議員選挙に於ても、何ら異なるところはない。すなわち、第一に、憲法前文に謳われている主権在民の代表民主制の原理は、その憲法体系の中に組み込まれている地方自治(第八章)についても、普遍的に適用さるべきものであること明らかである。第二に、平等選挙を直接基礎づける憲法一四条一項、同一五条一項、三項は、国会議員の選挙と地方議会議員の選挙(九三条二項)であるとを問わず均しく選挙に於ける国民の平等権を保障している。第三に、実質的に考えても、仮りに地方議会議員選挙に於て不平等選挙が許されるとするなら、国民にとつて身近な地方自治行政の方法づけをする機関であり、かつ、国会(法律)により膨大な事項について細部の取り決めを任され(条例委任)ている機関が、国民(住民)の意思を全く反映しないものとなることもありうることになり、民主主義の原理は根底から崩れてしまうであろう。

以上により、憲法上、平等選挙の原則が、民主主義体系の根本に関わる重要なものとして位置づけられていることが明らかとなつた。

(2) 法律と投票価値の平等

本件選挙は地方議会議員選挙であるが、公選法一五条は、その七項で特に、「各選挙区に於て、選挙すべき……議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならない。」と定め、地方公共団体議会議員選挙に於ける議員定数配分条例が、人口比例の原則に依る平等選挙を保障すべきものであることを命じている。この結果、各地方公共団体議会で定める議員定数配分の条例は、前記の如き憲法上の諸原則に従わなければならないのは勿論、公選法一五条七項をも遵守すべきである、ということになる。そして、条例(本件の場合は本件配分規定)が、憲法並びに公選法の右規定に違反するものであるときは、当該条例が違憲、違法なものとしてその効力そのものを否定さるべきであることは言うまでもない。

(五) 周辺区格差の象徴としての投票価値の不平等

原告らの居住する江戸川区は近年急激に人口が流入した地域であるが、これらに対し東京都をはじめとする行政主体はその対応が遅れかつ不十分であるため、区民の中から様々な不満が出ている。下水道の普及率の低いこと、東京都の教育、病院、公園などの公共施設の建設・設置水準が他区(とりわけ都心区)より著しく低いことなどである。これらはいわゆる周辺区格差といわれるものであるが、議員定数格差もこのような東京都の行政上の格差の一つの象徴としてとらえることができる。

本件訴訟の提起は、東京都に対する原告らの右の如き周辺区格差の是正を求める要求の一環として位置づけられるものである。

(六) 結論

本件選挙は、本件配分規定に基づき行われたものであるが、右配分規定は人口に比例せず、既に述べてきたように本件選挙における最大過疎区の千代田区選挙区と江戸川区選挙区では、議員一人当りの人口の比率で1対4.51、議員一人当りの有権者数の比率で1対3.8の格差があり、これは地方自治体議員選挙における投票価値の平等を保障する憲法前文、同一四条一項、一五条一項、三項、四四条但書、九三条一項、公職選挙法一五条七項に違反し、これに基づく本件選挙は無効である。

よつて、公職選挙法二〇三条に基づき、違法な被告の却下決定の取消しを求めるとともに、原告らの選挙区である江戸川区選挙区における本件選挙を無効とする旨の判決を求める。

二  本案前の抗弁に対する反論

〈以下、省略〉

理由

一請求原因1、2の各事実(当事者及び原告らの異議申立に対する被告の決定に関する事実)は当事者間に争いがない。

二  本件訴の適法性について

原告らの本訴請求は、本件条例一条ないし三条の本件配分規定は違憲、違法であるから、公選法二〇三条により本件選挙を無効とすることを求めるというものであるところ、被告は、このような理由による訴は、同条に基づく訴としては不適法であると主張する。

1そこで判断するに、公選法二〇三条が、地方公共団体の議会の議員の選挙の効力に関する訴訟は同法二〇二条による都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみその選挙管理委員会を被告として提起すべきものと定めていること、右訴訟は公選法その他の選挙法令の規定に違反して施行された選挙の効力を失わせ、改めて適法な再選挙を行わせることを目的とするものであり(公選法一一〇条参照)、同一の選挙法令に基づく適法な再選挙が可能であることを前提としていると解されることなどを考えると、右二〇三条に基づく訴は、選挙の管理、執行上の瑕疵によりその効力を失わせるべき場合を念頭において制定されたものであり、当該選挙の基礎となつた条例の違憲、違法を理由として選挙の効力を失わせることまでは予定していなかつたとも解することができる。しかし、選挙の基礎となつた条例自体が違憲、違法であることは、当該選挙の効力に関し、選挙の管理、執行上の瑕疵以上に重大な瑕疵であるのに、現行法上、右二〇三条以外には選挙の効力を争うべき訴訟を定めた規定は存在せず、これを右二〇三条の訴の対象外とするときは、これについての司法的救済、是正の途をとざすというきわめて不当な結果となることを考えれば、選挙人は、これを選挙無効の事由と主張して右二〇三条の訴を提起することができると解すべきである。そして、このような判断は、国民の基本的権利を侵害する公権力の行使に対してはできるだけ是正、救済の途が開かれるべきであるという憲法上の要請に照らしても、是認されるべきである(最高裁昭和五一年四月一四日大法廷判決民集三〇巻三号二二三頁参照)。

2なお、被告は、定数配分規定の違法を理由に当該選挙区の選挙を無効としても、条例改正により当該選挙区の定数だけを是正して再選挙を実施することは不可能であり、このような行政措置で是正することが不可能なことを目的とする訴は訴の利益を欠き不適法であると主張するが、条例改正等により定数を是正することが絶対的に不可能であるかどうかについては、原告らの主張するように、なお検討の余地があるばかりでなく、このような理由から、直ちに訴えの利益を欠くとの結論を導き出すことは、本来転倒の不当な議論というべきであり、採用することができない。

3また、被告は、本訴請求が高度の政治問題に属する事項を請求の目的としているから、司法審査になじまない旨の主張をするが、なるほど地方自治の理念の下では地方公共団体の議会議員の定数配分をどうするかについても議会に一定の裁量が認められるべきであり、そのかぎりにおいて、それが政治問題である側面を有することは承認しうるが、後述のとおり、各選挙人の投票の価値の平等が憲法上の要請であり、地方公共団体の議会議員の選挙に関し、これを明文化した公選法一五条七項が存在する以上、定数配分規定の違憲性、違法性についての判断が司法審査を排除するほどの高度な政治問題とは到底いえないことが明らかである。

4そして、前述のとおり、原告らの公選法二〇二条一項による異議申立に対する本件決定が原告らに交付されたのは昭和五六年七月二八日であるところ、本訴が提起されたのがそれから三〇日以内である同年八月二五日であることは本件記録上明らかであるから、本訴は公選法二〇三条の訴として適法というべきである。

二  本件定数配分規定の違憲・違法性の有無について

原告らは、本件定数配分規定は人口に比例せず、地方公共団体の議会議員の選挙における投票価値の平等を保障する憲法前文、同一四条一項、一五条一項、三項、四四条但書、九三条一項、公選法一五条七項に違反すると主張するので、検討する。

1  憲法・公選法と投票価値の平等(公選法一五条七項、二六六条二項の解釈)

(一)  憲法一四条によつてすべて法の下に平等であるとされる国民は、同法一五条一項、三項による公務員の選挙における選挙権の行使の場においても平等に取扱われるべきであり、しかも、それは形式的な選挙資格の平等だけではなく、より実質的な投票価値の平等をも内包するものと解すべぎであつて、したがつて、選挙区制をとる選挙にあつては各選挙区間で選挙人の投票価値に不平等が生じないように定数の均衡がはかられるべきことは憲法上の要請である。このことは、憲法四三条一項、四四条但書の存する国会議員の選挙についてあてはまるだけではなく、憲法九三条により住民の直接選挙によつて選挙されるべき地方公共団体の議会の議員の選挙についても、その議会が地方自治の本旨にのつとり住民の意思を忠実に反映すべきものであることに照らしても、同様にあてはまるということができる。

(二)  そして、選挙区制の選挙における投票価値の平等は、なによりも各選挙区への議員定数の配分が人口に比例してなされることにより実現されるべきものである。

しかし、公選法一五条一項は都道府県の議会議員の選挙の選挙区は郡市の区域によるとの原則を採用しているところ(同法二六六条一項は特別区について市に関する規定を適用すると定めているから、都議会議員選挙に関し特別区の存する区域では、特別区の区域が選挙区となる。)、このように行政区画によつて選挙区割をするとなれば、市(特別区を含む。以下同じ。)、郡の各人口が定数配分するについて過不足がないことはむしろ稀であろうから、人口に正確に比例して定数配分することは断念せざるをえない。しかしながら、行政区画による選挙区割は恣意的な、あるいは不自然な区割を抑制するうえでも、また歴史的、地域的まとまりを重視する点でも合理性があるといえるから、その結果として生ずる各選挙区間の定数の不均衡、選挙人の投票価値の不平等が極端に拡大しないような配慮がなされているかぎり、このような選挙区割規定自体が違憲であるということはできない。そして、同法一五条二項のいわゆる強制合区規定、同三項のいわゆる任意合区規定も、右のような不均衡、不平等が極端に拡大しないための措置を定めた規定であるということができる。それゆえ、右一五条一ないし三項の選挙区割に関する規定それ自体を違憲とみる余地はないというべきである。

そして、各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議員の数(以下「議員定数」という。)に関し、同法一五条七項は、「人口に比例して、条例で定めなければならない。ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。」と規定しているが、同項の趣旨を、投票価値の平等という憲法上の要請に照らして解釈すると、議員定数の配分にあたつては、各選挙区の人口が最も重要かつ基本的な要素となるべきであるからできるだけその人口に正確に比例させて配分を行うべきであるとの原則が、同項本文において明文化されたものということができる。しかし、投票価値の平等といつても議員定数を人口に比例させることが唯一絶対の基準であるとまではいえず、むしろ投票価値の平等は、議会が選挙制度、代表民主制の原理からみて正当に考慮することができる他の政策目的との関連で調和的に実現されるべきものであり、定数配分にあたつて、形式的に人口のみを基準としたのでは、いわゆる公正かつ効果的な代表という見地からみて不相当である場合もあり得、このような場合にそれぞれの具体的な特殊事情を正当に考慮して地域間の実質的な均衡をはかるために、人口比例からある程度はずれた配分をすることも、投票価値の平等という憲法上の要請に反しないものというべきであり、同項但書はこのような趣旨を明文化したものということができる。このように同項但書は、あくまで投票価値の平等の実現を前提とするものであり、人口比例の原則から著しくはずれた定数配分を地域間の均衡の名の下に合法化する規定ではないのであつて、このような意味で憲法に違反するものではないということができる。

ところで、何をもつて同項但書にいう特別の事情とみるか、それをどのように考慮するか、いかなる状態をもつて地域間の均衡がはかられているとみるかといつた点については、一義的で客観的な基準を見出だすことは困難であり、各議会がこれを議決するにあたつては、地方自治の本旨に照らして、種々の政策的判断を含む相当な裁量権を行使することができると考えられ、議決にあたつてその裁量権を合理的に行使したものとして是認することができるか否かによつて、当該定数配分規定が同項に違反するか否かを判断すべきである。しかし、前述のようにあくまでも投票価値の平等が前提である以上、当該配分規定の適用による各選挙人間の投票価値の不平等が通常特別の事情として考えられる種々の事情があつたとしても、なお一般的にみて到底合理的とは考えがたいほどの格差にまで達しているときは、もはや議会の裁量権の合理的行使の範囲を超えているものと推定すべきであつて、このような著しい格差をなお正当化するような特段の理由が示されないかぎり、その配分規定は同項に違反するというべきである。

なお、前述のとおり、市郡の区域をもつて選挙区とするとの原則を採用し(同法一五条一項)その区域の人口が議員一人当りの人口(当該都道府県の人口をその議会の議員定数で除して得た数)の半数に達しないときは、隣接する他の郡、市(特別区)の区域と合せて一選挙区を設けなければならず(同条二項、いわゆる強制合区規定)、その区域の人口が議員一人当りの人口の半数以上であつても議員一人当りの人口に達しないときは隣接する他の郡、市の区域と合せて一選挙区を設けることができる(同条三項、いわゆる任意合区規定)との選挙区割に関する公選法の規定からすると、数理的には、議員一人当りの人口の半数をわずかに上まわる人口の郡、市の区域を独立の一選挙区としうる結果、議員一人当りの人口の二倍に近い人口の郡、市の区域の選挙区の議員定数の配分を一人とする事態も生じうることになるが、このような配分結果は、右各規定があるからといつて、当然に許容されるものではなく、任意合区規定の活用、全体の定数配分の見直しなどによつて、このような配分結果にならぬようにする余地がないかどうかなどの検討をふまえて、投票価値の平等、人口比例の原則を基本原理とする同条七項に違反するかどうかが吟味されなければならないのである。ましてや、右各規定を根拠とし、合区問題を度外視して、各選挙区の議員一人当り人口(当該選挙区の人口を配分された議員定数で除して得た数)の格差が最多区と最少区とで四対一程度までは当然に許容されると解することは、到底許されない。同様に、公選法二七一条二項は、その区域の人口が議員一人当りの人口の半数にも達しなくなつた選挙区についても、合区しないことができる場合を規定しているが、歴史的沿革、地理的情況などの特殊事情により、地域間の実質的均衡をはかるためには、当分の間合区をしないことが相当である場合もありうるから、この規定自体は憲法に違反するとはいえないが、その適用の結果としての定数配分が当然に、憲法や公選法一五条七項に違反しないことにはならず、ましてや、この規定を根拠にその適用の結果生じうる定数配分上の格差と同程度の格差が一般的に公選法上当然に是認されていると解することは到底できない。

ただ、郡、市の区域をもつて選挙区とするとの原則を採用し、これを修正するものとしてすでにみたような合区に関する規定をおいた結果、全体の定数をいかに忠実に人口に比例して配分しようとしても、各選挙区の定数に相当な格差が生ずることは避けがたい。人口比例の原則を修正するに足りる要素の有無、程度は具体的なそれぞれの場合によつて異なるものというべく、したがつて、これ以上の数値の場合には憲法、公選法の趣旨に違反しその数値に達するまではそうでないとの画一的な基準を設けることは当を得たものではない。それゆえ都道府県議会の議員定数の各選挙区への配分について、公選法一五条七項違反とするにいたらない最大格差(当該選挙区の議員一人当り人口が最少の選挙区とそれが最多の選挙区との右議員一人当り人口の比率)の絶対的基準を見出すことは困難といわざるを得ない。

(三)  ところで、都議会議員の定数配分については、公選法二六六条二項が、まず、特別区の存する区域(二三区の全域)を一つの選挙区とみなして、この選挙区と二三区以外の各選挙区とに議員定数を配分し、次いで、この二三区全域に配分された議員定数を各特別区を区域とする選挙区(以下「特別区選挙区」という。)に配分する方法をとることができる旨の特別の定めをしているが、この方法をとつた場合には、特定の特別区選挙区と二三区以外の区域の選挙区との間の定数配分の上で不均衡を生ずる結果になることも否定し得ない。しかし、地方自治法二八一条、同条の三、二八二条、同条の二その他の行政法令において、特別区の存する区域(二三区全域)を一体として取扱い、大都市としての一体性を確保する措置がとられており、特別区制の歴史的沿革からみても特別区の存する区域が全体として一都市を形成していることは公知の事実であつて、右二六六条二項が、都議会議員の定数配分にあたり特別区の存する区域を一つの選挙区とみなす方法を採用したことにはそれなりの理由を見出すことができるから、同条項をもつて、投票価値の平等という憲法上の要請に反する疑いがあるとすることはできない。そして、右のように特別区の存する区域が全体として一都市を形成しているという事実は、同条項後段により特別区の存する区域に配分された議員定数を各特別区選挙区に配分するにあたり、一般の場合以上に厳格に、人口に比例させるべきであり、これを緩和すべき特別の事情が存在するとの判断はより慎重になされるべきであると解する根拠にはなつても、一般の場合以上に人口比例の原則からはずれてもよいと解する根拠には到底なりえないことが明らかである。同条項後段をもつて特別区選挙区間の定数配分格差を一般の場合以上に容認した規定であるかのような解釈は、その文言からしても、到底採り得ないところである。

2そこで、本件配分規定が投票価値の平等という憲法上の要請をふまえて右1項のように解釈すべき公選法一五条七項に違反するか否かについて検討する。

(一)本件配分規定の不可分性

地方自治法九〇条一項は、都道府県の議会の議員定数の上限を一二〇人と法定し、同条二項は、特に都議会の議員定数について、特別区の存する区域の人口を一〇〇万人で除して得た数を限度として、その上限を増加させることができると定めているところ、〈証拠〉によれば、昭和五五年一〇月一日実施の国勢調査の結果による特別区の存する区域の人口は約八三五万人であることが認められるから、東京都議会の議員定数の上限は、本件選挙の行われた昭和五六年七月当時一二八人と法定されていたことになる。そして、このように議員定数が法定されている場合には、定数配分規定を可分とみて、選挙の効力が争われている当該選挙区に関する部分だけをとり上げてその効力を判断し、その選挙区の議員定数だけを増加させることにより定数配分の不均衡を是正する方法は、右法定された議員定数に牴触してとりえないのであり、定数配分規定を不可分一体とみて、その全体の効力を判断し、全体の定数配分の見直しにより、各選挙区間の定数配分の不均衡を是正する以外に方法はないというべきである。そこで、以下においても、本件定数配分規定を不可分一体のものとして、その効力を判断する。

(二)一選挙区とみなされた二三区全域と二三区以外の各選挙区との間の定数配分(公選法二六六条二項前段)

〈証拠〉によれば、本件条例の施行された後の昭和四四年、同四八年、同五二年、同五六年の各七月施行の各都議会議員選挙について、その直前の国勢調査の結果による人口、配当基数(条例による議員の総定数に、当該選挙区の人口の都全体の人口に占める比率を乗じて得た数、すなわち、総定数を各選挙区に人口割した数値。)、条例による議員定数、右定数による議員一人当り人口、その議員一人当り人口について都平均を一〇〇とした場合の指数のそれぞれを、都全体、二三区全域、二三区以外を区域とする各選挙区、及び市郡部全体について集計すると、別表(一)のとおりであることが認められる(このうち、請求原因3(二)に挙示された数値は当事者間に争いがない。)。そして、これによると、本件選挙においては、二三区全域は配当基数91.290人であるのにこれを一〇人以上上まわる一〇二人の定数配分をうけているのに対し、八王子市選挙区は配当基数4.233人であるのに、これを二人以上下まわる二人の定数配分を、町田市選挙区、西多摩郡選挙区、府中市選挙区は、配当基数がそれぞれ3.229人、2.233人、2.099人であるのに、いずれもこれを一人以上下まわる二人、一人、一人の定数配分をうけたことになり、この結果、議員一人当り人口の最多の西多摩郡選挙区の議員一人当り人口は、都平均2.2倍以上に達し、二三区全域のそれとの格差も約一対2.5に達していたことになる(なお、議員一人当り人口が最少である島部選挙区との格差は約一対6.0であるが、配分基数0.369人の島部が独立の選挙区として定数一人が配分されたのは前述の公選法二七一条二項適用の結果であり、歴史的沿革、島部の地理的条件などを考えれば、この定数配分が裁量権の不合理な行使ではないことは容易に承認しうるから、これを重大な定数不均衡としてとりあげるのは相当でない。)。

しかも、別表(一)によれば、これに近い定数不均衡の存在は、昭和五〇年一〇月一日実施の国勢調査の結果によつてもすでに明らかであつたというべきであり、そして、それがさらに拡大しつつあることは容易に推測することができたはずであるのに、〈証拠〉によれば、都議会は、本件配分規定について昭和五二年六月に、右昭和五〇年国勢調査結果によれば配当基数2.733人となる町田市選挙区の定数を一人から二人へ増加し、これに伴い総定数を一二五人から一二六人に増加する改正をし(なお、公選法一五条三項の適用上、一選挙区として維持し得なくなつた北多摩第一選挙区(定数三人)を、同第一選挙区(定数二人)、同第五選挙区(定数一人)、に分区した。)、また、昭和五六年三月に、昭和五五年国勢調査結果によれば配当基数3.132人となる南多摩郡選挙区(定数一人)を各定数一人の南多摩郡選挙区と日野市選挙区に分区して、これに伴い総定数を一二六人から一二七人に増加する改正をしただけで、特別区の存する区域に対する定数配分には、全く変更を加えず、議員総定数を増加させることにより、市郡部の選挙区のうち議員一人当り人口が最多の選挙区についてのみ、わずかの定数増をはかつたものであることが認められる(この結果、別表(一)によれば、二三区及び島部を除く区域(市郡部)の各選挙区の本件選挙当時の配当基数は計35.339人であるのに、本件配分規定による定数は計二四人で一一人以上も下まわる結果となつている。)。

そして、別表(一)によれば、このような議員定数の不均衡が生じたのは、本件条例の制定された昭和四四年以降、二三区内の人口が一貫してやや減少する傾向にあるのに対し、市郡部の人口は相当急激に増加した(昭和四〇年の約一九四万人が昭和五五年には約三二三万人となり、約六七パーセント増加。)ためであるということができるが、このような急激な人口変動につねに即応しての人口変動に符合した定数配分規定の改正を行わなければ、議会がその裁量権を不合理に行使したことになるかどうかは、なお検討の余地があるにしても、都議会における前記の改正経緯は、このような人口変動の結果として重大な定数不均衡がすでに生じ、しかもそれが拡大する傾向にあることを認識しながら、本件配分規定全体の見直しをせず、もともと法律上限界があり、立法政策上も疑問がある議員総数の増加によつて、僅かに不均衡を是正してきたにすぎないとの評価をせざるをえない。そして、その結果として本件選挙時に生じていた二三区全域と西多摩郡、八王子市等の各選挙区との間の前述のとおりの定数不均衡については、他にこのような不均衡もやむをえないとするに足りる特段の事情がないかぎり、本件配分規定を公選法一五条七項に違反すると判断するに足りる程度に達していたものといわざるをえない。

しかし、本件配分規定が不可分一体としてその効力を判断されるべきものであるといつても、本訴請求は、特別区の存する区域である江戸川区選挙区の選挙の効力を争うものであり、次に判断するとおり、本件配分規定中の特別区選挙区間の定数配分に関して公選法一五条七項違反が認められる以上、二三区全域とそれ以外の区域の各選挙区との間の定数配分が違法であるか否かについて、ここで、これ以上の判断を加えることは要しないというべきである。

(三)特別区選挙区間の定数配分(公選法二六六条二項後段)

(1) 〈証拠〉によれば、昭和四四年、同四八年、同五二年、同五六年の各七月施行の各都議会議員選挙について、その直前の国勢調査による人口、配当基数(ただし、公選法二六六条二項前段により二三区全域に配分された定数を総定数とし、これに、各特別区の人口の二三区全体の人口に占める比率を乗じて得た数。)、条例による議員定数、右定数による議員一人当り人口、その議員一人当り人口について二三区平均を一〇〇とした場合の指数のそれぞれを、二三区全域(平均)、各特別区選挙区ごとに集計すると、別表(二)のとおりであることが認められる(このうち、請求原因3(二)に挙示された各数値については、当事者間に争いがない。)。そして、これによると、本件選挙において、本件配分規定によつて配当基数を一人以上上まわる定数を与えられた選挙区が、千代田(配当基数0.669人→定数二人。以下同様に表示する。)港(2.456人→四人)、台東(2.272人→四人)、墨田(2.843人→四人)、荒川(2.420人→四人)の五選挙区、配当基数をほぼ一人上まわる定数を与えられた選挙区が、中央(1.010人→二人)、渋谷(3.017人→四人)、新宿(4.199人→五人)の三選挙区あつたのに対し、配当基数を二人以上下まわる選挙区が、練馬(6.891人→四人)、足立(7.570人→五人)、江戸川(6.048人→四人)の三選挙区、配当基数を一人以上下まわる選挙区が、世田谷(9.735人→八人)、板橋(6.084人→五人)、葛飾(5.133人→四人)の三選挙区あつたことになる。そして、このような定数配分の結果、議員一人当り人口の二三区平均を一〇〇とした場合の指数も、最小の千代田区選挙区は33.5、次いで中央区選挙区が50.5、台東区選挙区が56.8、荒川区選挙区が60.5、港区選挙区が61.4と著しく低い選挙区がある反面、それが最大の練馬区選挙区は172.3、次いで足立区選挙区が151.4、江戸川区選挙区が151.2と著しく高い選挙区があり、議員一人当り人口の最少の千代田区選挙区とそれが最多の練馬区選挙区との格差は約一対5.15(同様に、千代田と足立、千代田と江戸川の各選挙区間の格差はいずれも約一対4.5)に達していたのである。

そして、〈証拠〉によれば、本件条例は昭和四四年三月に「東京都議会の選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例」(昭和二二年東京都条例第三一号。以下「旧条例」という。)の全部を改正して制定されたものであるが、各特別区の議員定数については、旧条例が昭和三三年改正されたものをそのまま引継いだものであり、本件条例制定後も、昭和四八年三月の改正により、台東区選挙区の定数を五人から四人に、品川区選挙区の定数を六人から五人に、各一人減少させ、練馬区選挙区の定数を三人から四人に一人増加させただけであることが認められる。

ところが、〈証拠〉によれば、この間の昭和三五年ないし同五五年の各国勢調査結果による、前述の配当基数と定数とに開きが大きい各選挙区における人口の推移は、別表(三)のとおりであることが認められ、同表によれば、二三区全体の人口には大幅な変動がないのに、いわゆる都心区を中心に人口の減少が著しく、その間人数的には、台東区が約一三万三〇〇〇人、墨田区が約九万九〇〇〇人、荒川区が約八万七〇〇〇人それぞれ減少し、比率的には、昭和三五年を一〇〇とした指数で昭和五五年に千代田区が46.9に、中央区が51.2に、台東区が58.3にそれぞれ減少したことが特に顕著であるのに対して、いわゆる周辺区を中心に人口の著しい増加があり、練馬区約二五万八〇〇〇人増・前記指数184.6、足立区約二一万人増・前記指数151.6、江戸川区約一七万八〇〇〇人増・前記指数156.4となつたことが特に顕著である。

そして、このような著しい人口変動に対し、前述のとおり本件配分規定のうち特別区選挙区に関する部分が殆んど改正されなかつた結果として、別表(二)によれば、議員一人当り人口の最少の千代田区選挙区と最多の練馬区選挙区との格差(最大格差)は昭和四四年選挙時に一対約3.1、同四八年選挙時に一対約3.6、同五二年選挙時に一対約4.5と急激に拡大し、前述のとおり本件選挙時にはそれが一対5.15に達したものであること、また議員一人当り人口の二三区平均値(一〇〇)からの乖離の著しい選挙区も、昭和四四年選挙時には、千代田53.9、台東66.3、練馬167.8が特に著しい程度であつたが、昭和四八年選挙時には、千代田42.8、中央59.9、港64.6、練馬152.3、葛飾133.5に、昭和五二年選挙時には千代田36.4、中央53.1、台東61.2、港61.8、荒川64.3、練馬156.1、足立143.7、江戸川139.7と次第に増加し、その乖離の程度も大きくなり、本件選挙時には前述のとおりとなつたものであることが明らかである。

(2) 以上のような事実関係にもとづいて考えるに、本件選挙時の特別選挙区間の定数配分の不均衡は、千代田区選挙区と練馬区選挙区間の格差(最大格差)が一対5.15と著しいばかりでなく、配当基数と現実の配分定数に二人以上の差がある選挙区が三選挙区、一人以上の差がある選挙区が八選挙区、ほぼ一人に近い差がある選挙区が三選挙区の多数にのぼり、このため議員一人当り人口の二三区の平均値からの乖離が大きな選挙区も多数生じていたのであるから、これらいずれの点からみても投票価値の平等を著しくそこなう程度に達していたといわざるをえない。そして、このような定数不均衡は、前述のように二三区内の急激な人口配置の変動、すなわち、都心区からの人口流出と周辺区への人口流入(いわゆるドーナツ化現象)が急激に進展したことが原因であることは前述のとおりであるが、このような急激な人口配置の変動について、議員定数の配分をどのように対応させていくかなどについての議会に認められるべき政治的裁量を考慮に入れたとしても、右にみたような投票価値の不平等は、一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達していたといわなければならない。そして、右のようなドーナツ化現象による二三区内の人口配置が一時的なものではなく、恒常的なものであることは別表(三)によつても明らかであり、それを原因とする著しい定数不均衡、投票価値の不平等は、すでにみたとおり昭和四八年以前から顕在化していたのであり、しかも、当時においてもそれが拡大しつつあつてさらに顕著な不均衡、不平等を招くであろうことは容易に推測することができたはずであるから、都議会はこのような不均衡、不平等を長期間にわたり放置したものというべく、一般に、議会としては、憲法、公選法上、裁量により合理的期間内にその是正をすれば足りると解しても、その合理的期間にその是正を行わなかつたものと断ぜざるをえない。以上のとおりであつて、本件配分規定による本件選挙時の定数不均衡、投票価値の不平等は、議会において通常考慮しうる諸般の事情を斟酌してもなお一般に合理性を有するとは到底考えられない程度に達していたものであつて、議会の合理的裁量の限界を超えていると推定され、しかも議会はかかる不平等を許容された合理的期間内に是正しなかつたことになるから、このような著しい不平等がなお正当化できるような特段の理由が示されないかぎり、本件配分規定は、投票価値の平等という憲法上の要請に基づく公選法一五条七項に違反すると判断せざるをえない。

(3) ところで、被告は、右のような著しい不均衡、不平等を正当化しうる特段の理由、公選法一五条七項但書の特別の事情として、千代田区などの都心区ではいわゆる昼間人口がきわめて多くそれだけ行政需要も大きいこと及び二三区を独立選挙区として最低二人の定数を配分してきた歴史的事実をあげる。

そして、〈証拠〉によれば、昭和五〇年国勢調査の結果による昼間人口は、千代田区、中央区、港区のいわゆる都心区では人口(夜間常住人口)の、それぞれ15.1倍、7.3倍、3.2倍に達するものであることが認められる。しかし、選挙人に対する選挙権は住所地すなわち夜間常住地で与えられるものであつて、通勤、通学場所で選挙権を行使しうるものではない以上、昼間人口が多いことが行政需要の増加要因であることは否定しがたいとしても、他地域で選挙権を行使する昼間人口者のために都心区の住民(選挙人)が他の区の選挙人の数倍の投票価値を有する選挙権を行使することが合理的であるとすることは到底是認しがたいところといわざるをえない。とくに〈証拠〉によれば、昼間人口の中には都議会議員選挙についての選挙権を有しない他県の住民が多数含まれていることが認められる点及び都議会議員は全都民の代表であつて、各区民の代表ではなく、ましてや各区の昼間人口者の代表ではないことも右判断の正当であることを基礎づけるものといえる(なお、都議会議員が選挙区の利益代表的役割をはたしている現実は否定しがたいとしても、周辺区の住民が都心区に通勤、通学して、その昼間人口を形成しているという事実は、右住民が都心区での都政にも密接な利害関係を有していることを意味し、したがつて、その住民の利益を事実上代表する周辺区選挙区選出議員も、そのことに無関心ではいられない筈であることを考えれば、昼間人口を考えて都心区の議員定数を多く配分しないと、それに基づいて増大した行政需要を充足させるに足りる都政が期待できないとの立論自体にも疑問がある。)。

しかも、〈証拠〉によれば、練馬区選挙区と荒川区選挙区の場合をみると、昭和五〇年において議員一人当り人口の格差は、荒川一対練馬約2.6であつたが、これを昼間人口でみても荒川一対練馬約2.1と二倍以上の格差があつたことが認められ、昼間人口が約二倍の練馬区の方が相対的に議員数が遙かに少ないことが明らかであるから、議員定数配分にあたつて各選挙区の昼間人口が考慮されているとの主張自体が疑問といわざるを得ない。

次に、〈証拠〉によれば、昭和二二年の旧条例制定以来、特別区については、合区されることなく独立の選挙区として維持され、また、最低二人の定数が配分されてきたことが認められ、成立に争いのない甲第四号証(東京都議会関係法規集)中の旧条例二条の千代田区選挙区「一人」の記載は〈証拠〉によれば、「二人」とすべきところを誤植したものであることが明らかである。このように特別区を独立の選挙区としてきたことは被告主張のとおりであるが、少くとも昭和四四年までは公選法一五条三項の任意合区規定の適用の余地がある特別区選挙区は存在せず、同法一五条一項により当然に独立の選挙区とすることが必要であつたこと及び本件選挙時にも、千代田区、中央区の各選挙区について右一五条三項の適用の余地が生じていたにすぎないことが別表(一)、(二)により明らかである。それゆえ、特別区選挙区を独立の選挙区として維持することを合理的とするに足りる歴史的事実が存在するとは到底いえない。また特別区選挙区に配分される議員定数が最低二人であつたことは被告主張のとおりであるが、〈証拠〉を対比すると、旧条例制定当時の人口に比例して特別区選挙区に配分すると、千代田区、江東区選挙区の各二人となり、これが定数の最低値であつたことが明らかであり、別表(二)のとおり、その後の人口変動の結果、千代田区、中央区の各選挙区では配当基数が二人を大幅に下まわるようになつても、定数二人がそのまま維持されてきたというにすぎないから、これをもつて著しい定数不均衡が生じてもなお定数二人を配分することを合理的とするに足りるほどの歴史的事実であるとは到底いうことができない。

(4) 以上のとおり、本件配分規定について、前述のような投票価値の不平等が生ずることを正当化しうるような特段の理由を見出すことはできないから、右規定は全体として投票価値の平等という憲法上の要請に基づく公選法一五条七項に違反するというべきである。

四  本件選挙の効力について

以上のとおり、本件選挙は公選法一五条七項に違反する本件配分規定に基づいて施行されたものであつて違法であるが、これを理由に江戸川区選挙区における本件選挙を無効とする判決をし、その選出議員の資格を失わせることは、ある意味ではより重大な瑕疵があるともいうべき過剰配分選挙区の選出議員の資格に影響がない以上、結果的にはかえつて投票価値の平等という憲法上の要請に背反することになる。そして選挙無効とされた江戸川区選挙区において適法な再選挙を行うためには本件配分規定の改正が必要であるところ、前述したような本件配分規定の違法性の内容からみても、また議員の総定数の変更は一般選挙の場合でなければ行えないとの地方自治法九〇条四項の規定に照らしても、その改正は江戸川区選挙区への定数配分を増加させるだけですませることは許されず、全体としての定数配分の見直し、是正を必要とするべきものであるが、このような改正を江戸川区選挙区選出議員の関与なしで行うことは相当かどうか疑問があるばかりでなく、その再選挙については、他の選挙区選出議員の資格がそのままである以上は、都議会議員の総人数が地方自治法九〇条一、二項の議員定数の上限をこえることになることが必定である。以上のような法律上、事実上の難点を考えると、本件においては、その選挙の違法を選挙を無効とすることに直接させることなく、行政事件訴訟法三一条一項において示された一般的法の基本原則に従い、選挙を無効とすることを求める原告らの請求を棄却するとともに、本件選挙のうち原告らの所属する江戸川区選挙区の選挙が違法であることを宣言するにとどめるのが相当である。選挙関係訴訟について右行政事件訴訟法三一条の適用を排除する旨の公選法二一九条の規定は、定数配分規定の違法により選挙が違法となる本件のような場合をも予想して規定されたものでないと解すべきであるから、右判断を左右するものではない。

五  本件決定取消請求について

本件決定取消請求は、前述のとおり公選法二〇三条二項が地方公共団体の議会の議員の選挙の効力に関する訴訟は都道府県選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起することができる旨を規定しているために、なされたものであつて、原告らの本訴の目的が本件選挙を無効とすることにあり、本件決定取消請求はこれに付随するものとして求められているにすぎないことは明らかであるから、選挙無効の請求について前述のような判断に達した以上、本件決定自体に仮に瑕疵があつたとしても、これを取消す利益ないし必要はないというべきであり、本件決定取消請求も棄却すべきである。

六  結論

よつて、原告らの本訴請求を棄却し、本件選挙のうち江戸川区選挙区における選挙が違法であることを宣言することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法九二条但書を適用して、主文のとおり判決する。

(森綱郎 藤原康志 小林克己)

別表(一) 東京都、特別区域とそれ以外の区域の人口の変動と議員定数

昭和44年

昭和48年

昭和52年

昭和56年

昭40

国勢

調査

人口

配当

基数

(注1)

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

昭45

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

昭50

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員一人当り人口

平均

100

した

指数

昭55

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

都計 平均

10,869,622

126

126

86,266

100

11,408,071

125

125

91,265

100

11,673,554

126

126

92,647

100

11,615,069

127

127

91,457

100

特別区計 平均 注

2

8,893,094

103.088

103

86,341

100.1

8,840,942

96.871

102

86,676

95.0

8,646,520

93.327

102

84,770

91.5

8,349,209

91.290

102

81,855

89.5

八王子

207,753

2.408

2

103,877

120.4

253,527

2.777

2

126,764

138.9

322,580

3.481

2

161,290

174.1

387,162

4.233

2

193,581

211.7

立川

100,681

1.167

1

100,681

116.7

117,057

1.282

1

117,057

128.3

138,129

1.490

1

138,129

149.1

142,600

1.559

1

142,600

155.9

武蔵野

133,516

1.547

1

133,516

154.8

136,959

1.500

1

136,959

150.1

139,508

1.505

1

139,508

150.6

136,895

1.496

1

136,895

150.0

三鷹

135,873

1.575

1

135,873

157.5

155,693

1.705

1

155,693

170.6

164,950

1.780

1

164,950

178.0

164,449

1.798

1

164,449

179.8

青梅

60,892

0.705

1

60,892

70.6

70,954

0.777

1

70,954

77.7

86,152

0.929

1

86,152

93.0

98,991

1.082

1

98,991

108.2

昭島

59,655

0.691

1

59,655

69.2

75,662

0.829

1

75,662

82.9

83,864

0.905

1

83,864

90.5

89,343

0.976

1

89,343

97.7

町田

115,918

1.343

1

115,918

134.4

202,801

2.222

1

202,801

222.2

255,305

2.755

2

127,653

137.8

295,354

3.229

2

147,677

161.5

南多摩 注

3

105,700

1.225

1

105,700

122.5

159,744

1.750

1

159,744

175.0

236,237

2.549

1

236,237

255.0

143,402

1.567

1

143,402

156.8

日野

145,417

1.590

1

145,417

159.0

西多摩

121,523

1.408

1

121,523

140.9

149,079

1.633

1

149,079

163.3

184,003

1.986

1

184,003

198.6

204,239

2.233

1

204,239

223.3

北多摩第

1

204,332

2.368

3

68,111

79.0

313,979

3.440

3

104,660

114.7

221,955

2.395

2

110,978

119.8

241,991

2.645

2

120,996

132.3

北多摩第

5

161,395

1.742

1

161,395

174.2

168,436

1.841

1

168,436

184.2

北多摩第

2

310,979

3.604

4

77,745

90.1

235,416

2.579

3

78,472

85.6

255,368

2.756

3

85,123

91.9

257,580

2.816

3

85,860

93.9

府中

163,173

1.787

1

163,173

178.9

182,474

1.969

1

182,474

197.0

191,980

2.099

1

191,980

209.9

北多摩第

3

157,967

1.831

2

78,984

91.6

217,785

2.386

2

108,893

119.3

245,967

2.654

2

122,984

132.7

251,359

2.748

2

125,680

137.4

北多摩第

4

225,769

2.617

3

75,256

87.2

282,033

3.090

3

94,011

103.0

315,160

3.401

3

105,053

113.4

312,833

3.420

3

104,278

114.0

市郡部計 平均

1,940,558

22.494

22

88,207

102.3

2,533,862

27.763

22

115,176

126.2

2,993,047

32.305

23

130,132

140.5

3,232,031

35.339

24

134,668

147.2

島部

35,970

0.416

1

35,970

41.7

33,267

0.364

1

33,267

36.5

33,987

0.366

1

33,987

36.7

33,829

0.369

1

33,829

37.0

(注1)

(注2) 公選法226条2項前段により、特別区の存する区域を一つの選挙区とみなした場合の、その選挙区にあたる。

(注3) 公選法15条2項、3項による郡・市合区による選挙区の構成郡市は次のとおり。

●南多摩(日野市 南多摩郡→日野市、多摩市、稲城市→昭和56日野市が独立)

●西多摩(西多摩郡→福生市、秋川市、西多摩郡)

●北多摩第1(東村山村、村山町(武蔵村山市)大和町(東大和市)久留米町(東久留米市)清瀬町(市)→昭52に清瀬市、東久留米市が北多摩第5として独立。)

第2 (府中市、小金井市、国分寺市、国立市→昭48に府中市が独立)

●北多摩第3(調布市、狛江町(市))

●北多摩第4(小平市、田無市、保谷市)

●北多摩第5(清瀬市、東久留米市)

別表(二) 特別区選挙区の人口変動と議員定数

(注)配当基数は総定員でなく、23区に配分された定数による。

昭和44年

昭和48年

昭和52年

昭和56年

昭40

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

昭45

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

昭50

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

昭55

国勢

調査

人口

配当

基数

定数

議員

一人

当り

人口

平均

100

した

指数

区部計

8,893,094

103.0

103

86,341

100.0

8,840,942

102.0

102

86,676

100

8,646,520

102.0

102

84,770

100

8,349,209

102.0

102

81,855

100

千代田

93,047

1.078

2

46,524

53.9

74,185

0.856

2

37,093

42.8

61,656

0.727

2

30,828

36.4

54,801

0.669

2

27,401

33.5

中央

128,017

1.483

2

64,009

74.1

103,850

1.198

2

51,925

59.9

90,097

1.063

2

45,049

53.1

82,643

1.010

2

41,322

50.5

241,856

2.801

4

60,464

70.0

223,978

2.584

4

55,955

64.6

209,492

2.471

4

52,373

61.8

201,045

2.456

4

50,261

61.4

新宿

413,910

4.794

5

82,782

95.9

390,657

4.507

5

78,131

90.1

367,218

4.332

5

73,441

86.6

343,749

4.199

5

86,750

84.0

文京

253,449

2.935

3

84,483

97.8

234,326

2.703

3

78,109

90.1

216,250

2.551

3

72,083

85.0

202,239

2.471

3

76,413

82.4

台東

286,324

3.316

5

57,265

66.3

240,769

2.778

4

60,192

69.4

207,649

2.450

4

51,912

61.2

185,980

2.272

4

46,495

56.8

墨田

317,856

3.681

4

79,408

92.0

281,237

3.245

4

70,309

81.1

250,714

2.958

4

69,679

82.2

232,755

2.843

4

58,189

71.1

江東

359,672

4.166

4

89,918

104.1

355,835

4.105

4

88,959

102.6

355,382

4.192

4

88,846

104.8

362,170

4.425

4

90,543

110.6

品川

413,278

4.902

6

70,546

81.7

397,302

4.584

5

79,460

91.7

366,058

4.318

5

73,212

86.4

346,236

4.230

5

96,247

84.6

目黑

298,774

3.460

4

74,694

86.5

295,612

3.411

4

73,907

85.3

285,003

3.362

4

71,251

84.1

273,751

3.344

4

68,438

83.6

大田

755,535

8.751

8

94,442

109.4

734,990

8.480

8

91,874

106.0

691,337

8.155

8

86,418

101.9

660,979

8.075

8

82,622

100.9

世田谷

742,880

8.604

8

92,860

107.6

787,338

9.084

8

89,417

113.5

805,787

9.506

8

100,723

118.8

796,821

9.735

8

99,603

121.7

渋谷

283,730

3.286

4

70,933

82.2

274,491

3.167

4

68,623

79.1

263,815

3.112

4

65,954

77.8

246,958

3.017

4

61,740

75.4

中野

376,697

4.363

4

94,174

109.1

378,723

4.369

4

94,681

109.2

373,075

4.401

4

93,269

110.0

345,575

4.222

4

86,394

105.5

杉並

536,792

6.217

6

89,465

103.6

553,016

6.380

6

92,169

106.3

560,716

6.615

6

93,453

110.2

542,450

6.627

6

90,408

110.4

豊島

373,126

4.322

4

93,282

108.0

354,427

4.089

4

88,607

102.2

321,078

3.787

4

80,270

94.7

288,553

3.525

4

72,138

88.1

452,064

5.236

5

90,413

104.7

431,219

4.975

5

86,244

99.5

419,996

4.955

5

83,999

99.1

387,256

4.731

5

77,451

94.6

荒山

278,412

3.225

4

69,603

80.6

247,013

2.850

4

61,753

71.2

217,905

2.571

4

54,476

64.3

198,104

2.420

4

49,526

60.5

板橋

477,007

5.525

5

95,401

110.5

471,771

5.443

5

94,355

108.8

498,286

5.878

5

99,657

117.6

498,038

6.084

5

99,608

121.7

練馬

434,721

5.035

3.

144,907

167.8

527,931

6.091

4

131,983

152.3

559,665

6.602

4

139,916

165.1

564,140

6.891

4

141,035

172.3

足立

514,736

5.161

5

102,943

119.2

571,791

6.597

5

114,358

131.9

605,025

7.137

5

121,805

143.7

619,668

7.570

5

123,934

151.4

葛飾

446,040

5.166

4

111,515

129.2

462,954

5.341

4

115,739

133.5

442,328

5.218

4

110,582

130.4

420,175

5.133

4

105,044

128.3

江戸川

405,364

4.699

4

101,341

117.4

446,758

5.154

4

111,690

128.9

473,656

5.587

4

118,414

139.7

495,086

6.048

4

123,772

151.2

別表(三) 定数配分上問題のある特別区選挙区の人口変動

注 上 国勢調査結果人口

下( )昭35=100の指数

▲減少(マイナス)

昭 35

昭 40

昭 45

昭 50

昭 55

増減(昭35→55)

区部計

8,310,027

(100)

8,893,094

(107.0)

8,840,942

(106.4)

8,646,520

(104.0)

8,349,209

(100.4)

38,182

千代田

116,944

(100)

93,047

(79.6)

74,185

(63.4)

61,656

(52.7)

54,801

(46.9)

▲ 62,143

中央

161,299

(100)

128,017

(79.3)

103,850

(64.4)

90,097

(55.9)

82,643

(51.2)

▲ 78,656

267,024

(100)

241,836

(90.6)

223,978

(83.9)

209,492

(78.5)

201,045

(75.3)

▲ 65,979

新宿

413,690

(100)

413,910

(100.0)

390,657

(94.4)

367,218

(88.8)

343,749

(83.1)

▲ 69,941

台東

318,889

(100)

286,324

(89.8)

240,769

(75.5)

207,649

(65.1)

185,980

(58.3)

▲ 132,909

墨田

331,843

(100)

317,856

(95.8)

281,237

(84.8)

250,714

(75.6)

232,755

(70.1)

▲ 99,088

渋 谷

282,687

(100)

283,730

(100.3)

274,491

(97.1)

263,815

(93.3)

246,958

(87.4)

▲ 35,729

荒川

285,480

(100)

278,412

(97.5)

247,013

(86.5)

217,905

(76.3)

198,104

(69.4)

▲ 87,376

世田谷

653,210

(100)

742,880

(113.7)

787,338

(120.5)

805,787

(123.4)

796,821

(122.0)

143,611

板橋

412,605

(100)

477,007

(115.6)

471,777

(114.3)

498,286

(120.8)

498,038

(120.7)

85,433

練馬

305,628

(100)

434,721

(142.2)

527,931

(172.7)

559,665

(183.1)

564,140

(184.6)

258,512

足立

408,768

(100)

514,736

(125.9)

571,791

(139.9)

609,025

(149.0)

619,668

(151.6)

210,900

葛飾

376,724

(100)

446,040

(118.4)

462,954

(122.9)

442,328

(117.4)

420,175

(115.5)

43,451

江戸川

316,593

(100)

405,364

(128.0)

446,758

(141.1)

473,656

(149.6)

495,086

(156.4)

178,493

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